特撮美術監督の渡辺明氏が残した特撮の制作現場を記録した貴重な資料の数々が須賀川特撮アーカイブセンターに収蔵されました。
これらの資料は、当センターが参画・協力する「日本特撮アーカイブ」の2022年度の活動で、調査と整理、保存(デジタルデータ化)が実施されました。今回は本事業の概要と成果についてご報告します。
1. 日本特撮アーカイブについて
「日本特撮アーカイブ」の活動は、特撮に関する中間制作物や資料の保全を第一の目的としています。
この取り組みは、文化庁メディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業で2012年度に行った調査研究からスタートし、特撮に関係する制作関係者や有識者などによって特撮の文化的価値の検証や、特撮に関する情報や文献の整理・体系化を実施してきました。2017年度からは文化庁メディア芸術アーカイブ推進支援事業の助成を受け、資料の保管・修復のための様々な活動を行っています。市は、2021年度より、須賀川特撮アーカイブセンターを会場とした資料の調査や保存などを通して日本特撮アーカイブへ参画・協力しています。
2. 渡辺明氏関連資料について
渡辺明氏は、円谷英二特技監督の片腕として 1942 年から 1965 年まで、東宝株式会社の特撮専門美術監督として活躍しました。当時の特撮の制作現場では、メイキング写真はあまり撮られず積極的に公開もしていませんでした。また当時の日本でカメラは高価な贅沢品で普及率も低く、フィルムも白黒が主流でした。そんな中でも、渡辺氏は美術監督として、撮影現場の記録を残そうとする強い思いから、撮影現場の広がりの分かるセット全景や各種仕掛けなどをカラーフィルムも用いて詳細に記録していました。その記録として大量の写真、フィルム、スケッチ等の数々の貴重な資料が残されており、これらの中には専門家も見たことが無いメイキング風景を記録した写真なども多数含まれます。
これら数々の資料は、特撮文化の研究を進める上でも非常に貴重な資料ですが、50年以上にわたる保存期間を経て劣化・褪色などが進んでしまい、資料の保全・保存が急務であることから、資料のデジタルデータ化を行いました。本ページではその成果の一部を公開します。なお、本ページに掲載している写真の一般公開は行っておりません。